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豊橋市民句会

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2016年 02月 19日

節分過ぎれば花だより

     句会二月「兼題 人日(1月7日) 雪」

   七草粥狭庭に摘みし三草入れ      本多 尚子
   竹林の奥はほの暗し雪催        中内まつ江
   人日や金の成る木を文机        大河美智子
   綿雪の地に着き直ぐに消えにけり    佐々木千代子
   冠雪の峰を遠目の里日和        中島とし子
   人日や絵本読みつぐ児童館       鈴木フサ子
   人日や笊一杯の銭洗い         彦坂 艶子
   人日や駒屋の粥に温まる        高橋 良子
   七草を粥に散らせて香をすする     森下 全秀
   人日や朝のコーヒー濃く淹れる     川合 史浩
   人日や汁粉振る舞ふ商店主       中尾美智子
   人日や波穏やかな三河湾        白井みち子
   雪霏々と目鼻失せたる石仏       河合 澄子
   目覚むれば関ヶ原なり雪しまく     林  春美
   高嶺晴れ雪の帽子は茜色        熊谷たか子
   人日のよろしき便り待つばかり     藤田 源一
   露天湯の肩にとけたる細雪       加藤美津子
   人日や晩学の夢いまだなほ       山中たけし
   初雪や祈りのやうな静けさよ      山中ゆきの
   チワワの瞳漆黒にぬうれて雪真白    谷口 朝子

   「史浩先生の『高得点』短評」
   
   1 雪霏々と目鼻失せたる石仏  河合 澄子
   評 纏っているが中七(目鼻失せたる)は常套語類想多し
   2 初雪や祈りのやうな静けさよ 山中ゆきの
   評 「祈りのやうな静けさよ」は心象風景として言い過ぎ。
   3 人日や今朝のコーヒー濃く淹れる
   評 正月7日目、雑煮やお節料理に飽き、濃いコーヒーで
     気分一新。しかし季語を意識しすぎ。自句自解です。
      


# by shiminkukai | 2016-02-19 12:51 | 前月の結果
2016年 02月 06日

初句会は舞台を移して

  兼題 「潤鰯 日記果つ」

  大方は用件のみの日記果つ    中内まつ江
  三日坊主何とかつづく日記果つ  本多 尚子
  読み返す余白の多き日記果つ   佐々木千代子
  滋養良き潤目鰯の朝餉かな    中尾美智子
  立ち飲みにうるめ鰯を丸齧り   川合 史浩
  反省も夢も語らず日記果つ    森下 全秀
  反省を明日の糧とし日記果つ   河合 澄子
  消しゴムで消せぬ吾が志の古日記 山中たけし
  天気のみページありけり古日記  山中ゆきの
  ながらへし証しの一句日記果つ  中島とし子
  大方は夫の病状日記果つ     鈴木フサ子
  リハビリの日課となりし日記果つ 加藤美津子
  思ひつき記し介護の日記果つ   熊谷たか子
  旅暦めきて日記の果てにけり   林  春美
  吟行の思い出尽きぬ日記果つ   高橋 良子
  目に涙売らるるうるめ鰯かな   藤田 源一
  変わりなきメニュー見直す古日記 彦阪 艶子
  行間に俳句も詠みし日記果つ   大河美智子

史浩先生の「高得点評」

  行間に俳句も詠みし日記果つ   大河美智子
  大方は夫の病状日記果つ     鈴木フサ子
  一合の父の晩酌うるめ焼く    河合 澄子

  評 三句共大変上手に詠まれました
  大河さんの句からは、作者の俳句に対する立派な
  心構えがよく理解できます
  鈴木さんの句からは病気の夫に対する献身的な看護の
  様子が分かります
  河合さんの句からは、作者の老父に対する労りの心づかいが
  しっかり表現されています
  俳句は、十七音の短詩です。兎角類想類句が多くなります。
  この点歳時記や季寄せの例句をよく参照して気をつけて下さい
  そして自分の言葉で飾り気のない率直な気持ちを詠んで下さい
  又1年精々体調に気をつけてよい句を作るよう精進しましょう。

# by shiminkukai | 2016-02-06 17:19 | 前月の結果
2015年 12月 08日

流離の俳人「井月」

    忘年会で「井月」映画を観賞
   十二月の兼題「芭蕉忌」「初冬」

  時雨忌や闇を掃く手の白く浮く  佐藤 英子
  一望の先に海あり翁の忌     中内まつ江 
  初冬や鍋の豆腐の躍る音     森下 全秀
  時雨忌に適ひて今日も通り雨   佐々木千代子
  初冬晴れ遥かに望む観音像    熊谷たか子
  一ト筋に斯の道辿る翁の忌    川合 史浩
  校庭に防災訓練冬はじめ     中尾美智子
  格子戸の錆びし宿場や冬初め   林  春美
  時雨忌や商家駒屋の賑はひあり  藤田 源一
  冬初や寝付けぬままに深夜便   加藤美津子
  初冬の朝日に駈ける親子馬    中島とし子
  カタログはすべて厚物冬はじめ  本多 尚子
  芭蕉忌や伊良湖岬の鳶の声    白井みち子
  衿立てて帰る男の初冬かな    谷口 朝子
  初冬の孤高の鷺の白さかな    大河美智子
本堂の深閑として冬初め     高橋 良子
  一夜さの廻り舞台や今朝の冬   山中たけし
  それ程と思はぬ朝の冬初め    山中ゆきの
  初冬や揺れ向き変る酒林     彦坂 艶子
  句作りに終りなきこと翁の忌   鈴木フサ子
  龍口の水迸る初冬かな      河合 澄子

    史浩先生の「高得点 短評」
  時雨忌や闇を掃く手の白く浮く  佐藤 英子
 評 時雨忌は江戸前期の俳人松尾芭蕉の忌日。芭蕉は
 伊賀上野に生れ(1644~1694)各地を旅した。大阪に没した。
 この句は中七の「闇を掃く手の」が分かりにくい。まさか
 真夜中に掃除でもあるまいが・・・。此の頃は日暮も早いので
 闇に女の人の白い手がぼんやり浮いて見えるといふ状況だと
 思はれるが、表現にもう一工夫欲しい。然し季節感は出ている。

  時雨忌に適ひて今日も通り雨   佐々木千代子
 評 初冬の今日も時雨た さながら芭蕉の忌日を悼むように・・
 感懐の一句

  一望の先に海あり翁の忌   中内まつ江
 評 作者は何処か海を見渡せるところに立っている。
 この海を眺めて芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」の
 句を連想したのだろうか。これも感懐の一句。芭蕉忌は
 時雨忌、桃青忌、翁の忌とも言ふ。    

  




# by shiminkukai | 2015-12-08 09:51 | 前月の結果
2015年 11月 01日

田園の農閑期

  兼題 田舎芝居 稲雀

  山里の雷雨に果てし村芝居    大河美智子
  過疎の人挙って集ふ村芝居    熊谷たか子
  地芝居や一日だけの七変化    中内まつ江
  地芝居の幟はためく宮の杜    本多 尚子
  地芝居の親子別れにほろりせり  佐々木千代子
  座布団を抱へ参ずる村芝居    林  春美
  一羽翔ち百羽の翔ちぬ稲雀    川合 史浩
  長閑なる幕間長し村芝居     藤田 源一
  白塗りの皺を隠して村芝居    加藤美津子
  田舎歌舞伎然れど海外公演す   中尾美智子
  小屋掛けに古老が仕切る村芝居  高橋 良子
  谷底の闇を燃やして村芝居    山中たけし
  人に散り風に戻りぬ稲雀     山中ゆきの
  子役出てここぞと拍手村芝居   鈴木フサ子
  稲雀うねりとなりて飛び立てり  荒井須磨子
  村芝居となりの爺様女形     谷口 朝子
  夕空にどっと沈みぬ稲雀     荒井須磨子
  地芝居の社家の子灯入れ軒提灯  彦坂 艶子
  地芝居の村に太鼓の音の響く   河合 澄子
  稲雀米の余りし国の末      森下 全秀 

史浩先生の「高得点評」
  谷底の闇を燃やして村芝居   山中たけし
 「評」 兼題の村芝居とは、秋の収穫の後で秋祭りなどの行事の
     一つとして行われる素人芝居。この句は山深い小さな峡の
     村芝居で、舞台を裸電球が煌々と灯っている様子を「闇を
     燃やして」と表現したもので、少々オーバーな中七とおもいます。
     矢張り俳句には(わび、さび)が必要です。
  山里の雷雨に果てし村芝居   大河美智子
 「評」 楽しい行事なのに急な天候の悪化で、芝居の段取りを端折って
     早めに切り上げ、幕になる様子が素直に表現され観衆の落胆振りが
     見えて面白い。
  地芝居や一日だけの七変化   中内まつ江
 「評」 小さな村の村中挙げての芝居なので、器用なひとは一人で何役も
     こなさなければならいのだろう。「一日だけの」が面白い表現で、
     役者がてんてこ舞している様子が見える。
 
   


# by shiminkukai | 2015-11-01 01:00 | 前月の結果
2015年 06月 17日

漢方薬と新大関

  兼題「夏場所」「現の証拠」」

 忽ちにげんの証拠よ腹具合     森下 全秀
 横綱のなべてモンゴル五月場所   中内まう江
 城址にも到る所に神輿草      佐々木千代子
 夏場所の果てて夕日の名古屋城   中島とし子
 現の証拠咲きて一病見えかくれ   内藤 邦子
 現の証拠狭庭に煎じ匂い満つ    高橋 良子
 夏場所や空に幟の立ち競ふ     大河美智子
 妙齢の和服の似合ふ五月場所    鈴木フサ子
 砂かぶり常連客の夏衣       本多 尚子
 釘づけのテレビ桟敷や五月場所   川合 史浩
 夏場所や新大関の頼もしき     中尾美智子
 夏場所や贔屓力士の名を忘れ    荒井須磨子
 現の証拠腹痛薬は一ト昔      白井みち子
 夏場所や汗も飛び来る砂かぶり   林  春美
 今も尚現の証拠の咲く廃家     河合 澄子
 みこしぐさ見分けもつかず墓碑傾ぐ 松井みち子
 寄切りに鍋の火を止め五月場所   彦坂 艶子
 深庇現の証拠の吊し干し      山中たけし
 母偲ぶ現の証拠の土瓶かな     山中ゆきの
 夏場所や鯛の笑顔の照ノ富士    藤田 源一

     川合史浩の「高得点短評」

   「夏場所の果てて夕日の名古屋城 」 中島とし子
 評 大相撲の本場所の一つで明治10年には、初場所と
   夏場所(5月)の二場所だったが、現在は6場所となった。
   7月の名古屋場所の句で、場所の興奮をそのまま夕日の                                                         
   名古屋城重ね、懐古の情に浸ってゐる作者。

   「母偲ぶ現の証拠の土瓶かな」  山中ゆきの
 評 現の証拠は、別名「いしゃいらず、神輿草等」
   と言われ、昔から煎じて下痢止めの妙薬として
   愛用された。亡くなられた母親が愛用された
   煎じ用の土瓶に一入母への思ひが募る。
   土瓶とは懐かしい言葉。

   「今も尚現の証拠の咲く廃家」   河合 澄子
 評 盛夏の廃屋の庭に、白か紅の小さな梅の花に
   似た花が咲いている。その昔住人の年寄が薬用に
   大事にしていたものだろうか。素直な句。






  


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# by shiminkukai | 2015-06-17 08:46 | 前月の結果